◎「敵に教えられる」=今日の格言(12)
◎ 敵に教えられる (経営の神様:松下幸之助翁)
己が正しいと思い込めば、それに異を唱える人は万事正しくないことになる。己が正義で、相手は不正義なのである。いわば敵なのである。だから憎くなる。倒したくなる。絶滅したくなる。人間の情として、これもまたやむを得ないかもしれないけれど、我々は、我が妨げとばかり思い込んでいるその相手からも、実はいろいろの益を得ているのである。相手がこうするから自分はこうしようこうやって来るならこう対抗しようと、あれこれ知恵をしぼって考える。そして次第に進歩する。自分が自分で考えているようだけれど、実は相手に教えられているのである。相手の刺激で、我が知恵をしぼっているのである。敵に教えられているのである。
倒すだけが能ではない。敵がなければ教えもない。従って進歩もない。だからその対立は対立のままに認めて、互いに教え教えられつつ、進歩向上する道を求めたいのである。つまり対立しつつ調和する道を求めたいのである。それが自然の理というものである。共存の理というものである。そしてそれが繁栄の理なのである。
(松下幸之助:道をひらくより)
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