意見広告(宛:東京電力次期会長・社長)=柏崎日報紙掲載分

原子力発電所に関する意見広告(平成29年5月12日柏崎日報紙に掲載)

拝啓 東京電力ホールディング株式会社

次期会長 川村  隆 様   次期社長 小早川智明 様

私は柏崎市の一住民です。まもなく後期高齢者になります。

新たに東電の会長、社長に就任されるとお聞きし、一筆啓上致します。

柏崎は美しき浜辺の町であり、三方を山に囲まれた静かな個性的な町であります。柏崎はまたエネルギーの町でもあり、石油産業発祥の地としての歴史と誇りがあり、天然ガスが採掘され、貴社の柏崎刈羽原子力発電所は「世界一の原子力発電所」として地元と共にありました。

その原発が「再稼働」で揺れています。「フクシマ」で安全神話が崩れ去りながらも、地域における「原発」の存在価値は大きく、「安全」なのか「経済」なのか、私も一人の経済人として、心は揺れ続けています。しかも、「メルトダウン」「免震棟」問題と続き、信頼は崩壊してしまい、「再稼働」応援団も失望にうち震えています。

産業とは本来、人の幸福に寄与すべきものと考えています。避難訓練やヨウ素剤配布を必要とする産業なんてのは我々が望むものではあり得ません。今のままでは「フクシマ」の人達も、柏崎の未来のために原発誘致に苦渋の決断をした先人達も浮かばれません。そのことを思うと、悔しくて涙が出ます。

貴社は「絶対安全だ」とする原子力発電所を東京から遠い福島や柏崎に建設しました。万一事故が起きても東京の本社幹部は「安全圏」に身を置きたかったのでしょうか。「フクシマ」の惨状を「東北でよかった」と言い放つ政府高官の本音発言には「ふざけるな!」と怒鳴りたくなります。

しかし、原発の経済への影響は大きく、その重要性は認識しているつもりです。原発を再稼働させれば、化石燃料の輸入が1日100億円以上も節約され、この国の富を教育や医療に回せるのではないか、との論もあります。正直に言えば、原発立地地域の経済にとっても大きな課題です。柏崎刈羽原子力発電所を再稼働させないと、現在22兆円以上と言われている「フクシマ」復興資金を含め、東電の再建が不可能とも聞いています。再稼働のための「安全」が絶対条件であることは当然ですが、我々が安心して柏崎に住み続けられる「信頼」がなければ、原発がここにある存在理由にはならないと思います。そして、やがて廃炉の後、元の美しい松林の浜辺に戻して頂きたいのです。

「再稼働」のために最優先すべき課題はなんですか?

1 監督官庁の意向を重視する

2 首都圏の消費者を重視する

私は「再稼働」の為には「失われた地域の信頼」を再建することが何よりも最優先されるべき課題だと信じています。トップの人達が危機の現場に率先して身を挺し、本社の人達をはじめ、現場で働く人達、関連会社の人達が一体となって、同じ空気を吸って、同じ飯を食って、同じ汗と涙を流せば「東京電力」への信頼は必ず蘇(よみがえ)ると思います。

柏崎刈羽原子力発電所に関わる全ての人が「安全運転・信頼確保」の目的を掲げ、全身全霊でその目標に立ち向かっていけば、その誠は必ず地元で暮らす人々にも伝わり、私達は貴社の応援団になれるはずです。

「安全」は原子力安全規制委員会の活動により、技術的にはある程度は担保されるのかも知れません。しかし、私達は知識だけで「安全・安心」を語る人を信用できないのです。

お二方に提案いたします。30年以内70%の確率という首都直下型地震による大震災も「想定内」とすべき時になっています。東京本社を柏崎刈羽原子力発電所に柏崎・刈羽に移転しませんか?

土地はいっぱいありますよ。出来れば家族の方も柏崎刈羽に来て頂き、一緒に遊びませんか?「柏崎で良かった」と思って頂ける、ここはいい町ですよ。そして私達も「原発だけの町」にはしたくありません。柏崎から、未来にわたるニューエネルギーの研究をスタートさせませんか?

柏崎市大字加納   石塚 修 拝